後書き

世界の隅っこ

作品

自分の力ではどうにもならない事が、心底気に入らなかった。「しょうがない」とばかり言って済まされてしまうことが、いかにつまらないかわかるか。どうにもならない事ばかりが多すぎるから、俺はロックンロールに逃げる、音楽に逃げる、作品に逃げる。全て…

背景、夏の生霊

入道雲が空を覆うように現れて、その分厚い姿を見せている。今年も夏が来る、夏の空気が肌に染み付く、僕はずっと風を待っている。最近は、随分と夏の思い出に敏感になったような気がする。高校、あるいは中学の、部活帰りに自転車に乗って汗を流しながら坂…

あの娘のスカートと通学路

高校生の頃、あの娘は僕よりも早く学校に行くから、いつも通学路を僕よりずっと前を歩いていた。母校の派手なピンク色のデザインのスカートが後ろからでもはっきりと見えた。どうせ今もどこかで元気に暮らしてるんだろうな。中途半端に人を愛してしまったせ…

二十歳

淡い橙色の夕暮れが、死にたいという感情を心の奥底から引きずり出してくる。だがそれと同時に夕暮れは美しく心を震わせる。死にたいだけの世界に何の意味があるかわからないが、それでも希望を追いかけて生きている。今日はやけに雲が多い、あまり好きでは…

春隣

男は殴り続けた。「やめてください、やめてください」そんな言葉を聞くはずもなく、女の顔は赤くなり、酷く腫れ上がり、その場には言葉に表すことの出来ない憎悪が渦巻いていた。理想の死に方がある。 身体は老いて、ベッドに横たわる俺を晴れた日に突如開い…

某日、春の訪れ

今日は自動車学校の卒業検定に落ちた。いつもは何事もなく出来ていた事が出来なかった。 自分の技量の無さを恨んだ。何度後悔しても時間は戻らないし、やり直すことは出来ない。あるのはただ卒検を落ちたという事実だけ。俺は今黒染めの待ち時間でこの文を書…

夕凪、某、花惑い

日本語の美しさに心底驚く。ヨルシカの楽曲に夕凪、某(なにがし)、花惑いという曲があるが、この歌詞がなんせ美しい。この曲、こんな言葉が綴られている。花泳ぐ 花惑うそれまで、花に対しては、「散る」「落ちる」 「咲く」「舞う」しか頭になかった。「泳…

死んだ愛と底が抜けた柄杓

人間いつか骨になって、灰になって消えていく。人間一人一人にはそれぞれ人生があって、様々な生き方があって、成り立っている。 いつか大切な人を亡くした時に、自分は何を思うだろうか。 三日三晩泣くだろうか、食事が喉を通らなくなるだろうか、何もする…

How To Go?

人生、何が起こるかわからない。明日には何かが大きく変わっているかも、変わっていないかも。人間生きてたらひと味もふた味も違うんだぜ、そうかもしれない。大きな物を得るかもしれない、失うかもしれない。生きてたら色々ある。当たり前だ。先の事なんて…